2019年前半 IPOまとめ②(夕会)

とある金融機関の会議室の会話(あくまでフィクションです )

 

白楽課長

待たせたな!みんなお疲れさーん!今月もよく稼いでくれました!と、言いたいところだけどよ、トミー!

お前さ、今月の収益目標いくらだ?出来たのナンボよ?

冨山

…はい、すいません。1000万のところ985万しか出来ませんでした。

白楽課長

だよな!なんであと15万くらいのことやらねえんだよ‼︎

お前は出来なかったんじゃなくて、やらなかったんだよ‼︎  評価ってのはよ、達成したかどうか以外に物差しがないんだよ。今月のお前は985万円をドブに捨てたんだ!3年目の日吉だって達成率120%なんだぞ。日吉とお前、どっちが先輩なんですかァ?お前それで悔しくないのか?おい‼︎

冨山

....悔しいです。

白楽

だったら引け後(翌日の注文 )ガチで取れよ。いいか!

冨山

はっ、はい!

白楽

まあ詰めはこれくらいにして、さっきのリビン・テクノロジーの話な。これ資料だからそっちから回してくれ。

 

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今年の前半、1月から今日までのIPO のデータだ。


黄色く色のついてる数字はポジティブと考えられる部分だ。基準は

1,発行済株式数:200万株以下

2,公開株数:40万株以下

3,公募価格:2,000円以上

4,吸収金額(公募株数✕公募価格):150億円以下

5,オファリング・レシオ(OR):25%以下

の5点を1つ1ポイントとして計算する。表の数値で条件を満たしているのは黄色く色付けしてある。

前提として、結果一番大事なのは右端の1株の売却益だ。2番目の騰落率じゃないぞ。利益供与を疑われたりするから、今はIPOを100株以上配分することは大型銘柄でないと難しいのは知ってるな?100株配分とすると、初値で売ってせめて20万円以上の売却益が出た銘柄を基準クリアとする。

 つまり公募で買って初値で売り20万円以上の売却益が出た銘柄の共通点を検証してみたわけだな。

 

1,発行済株式数 についてだが、そもそも大型株がいきなり初値が倍になるなんてことはまず無い。市場にそんな資金が遊んでいるわけはないからな。だからもともと株数が少ないのなら需給は悪くなりづらい。いわゆるオーナー社長やVCの「上場ゴール」案件にもなりづらい。今の会議には関係ないから詳しくは触れないけど、1年後に資金調達のためにFO(増資)をやるパターンが多いな。

2,公募株数 だが、もちろん少ないほうが需給的にはいいに決まってる。多くてもオファリングレシオが低ければ問題ないんじゃないの?という人もいるけど、初値形成には一番影響がある。なんせ公募株を売ってくれない限りは初値は付かないわけだからな。

3,公募価格 についてはあくまで傾向だけど、1,000円以下とかは100株しかないと面倒くさいというのが正直なところだ。オレの担当しているお客さんでも面倒臭がって応じてくれない人が結構いるよ。正直目論見書の作成コストも考えたら誰も得しない不幸なIPOになることもあるね。営業的には同一口座に連続して配分できないのに、喜ばせたい顧客のチャンスを安い銘柄で使うってもったいないだろ?

4,吸収金額 は大事! 昨年末のソフトバンクでもよくわかったと思うが、デカいととにかく上がりづらい。業種、業績以外の要素では必ず見ておく必要がある。特に同日、または前後に人気のIPOが予定されているとかなり影響される。

5,よく言われてるオファリング・レシオ(OR)は極端な値が出た場合以外は意外と効いてないな。もちろん1,と2,の数値を前提にしたものだから当たり前だけどね。ただ基本的にはORは上場後のセカンダリー(FO)の有無に影響するものだと思ったほうがいい。

中間の結論だけど、要は「需給関係」が問題ってわけだよ。株数と金額でかなりの部分が決まってしまうって事だな。

 

じゃあこの5要素のうち3つ以上をクリアした銘柄だけを抽出してみたのが次のページだ。

 

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逆に3つクリアしなかった銘柄はその下だ。

 

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無論例外はあるけど、右側の騰落率や1株売却益に影響する確率が高いのは見えてくるだろう?2月の案件と6月の案件を比較したり後出しジャンケンみたいなもんだからツっ込まれるかもしれないが、一応仮説として後半の営業に役立てて欲しい。

わかったか、トミー?

 

 

~つづく