書店チェーンの文教堂は昨年度(2018年8月期)で2.3億円ほどの債務超過に陥っていたため、今期の締めである2019年8月末までに資本超過に持ち込まなければ上場廃止になるところでした。
昨年出された東証からのお達しは2019年8月31日まで、つまり先月末の決算締めの数字を問うているわけです。
6月末に川崎市高津区の溝の口にある本社を売り飛ばして7億円ほど特別利益をひねり出した分でとりあえず今期の債務超過解消はメドが立っていたはずです。しかしそれと同時に事業再生ADRの申請を行いました。事業再生ADRというものの内容は、たいていは銀行への借金棒引きのお願いです。銀行もただでトバれてはメンツが立ちませんし回収可能性を他行と腹を割って足並みを揃えられるのであれば通常はその話に応じます。
期末である8月末を跨いでもADR成立にこぎつけたのはなかなか頑張ったじゃないか!という印象を受けます。
つまり、①銀行融資の債務株式化(デット・エクイティ・スワップ)、②大手書籍取次の日販から実務支援、の2つを獲得したわけです。
まず①については12月実行ですが債務超過回避は問題なく行われそうです。ですので
上記にある2020年8月31日まであえて猶予をもらったことで財務の着実性をマジメに向上させようとしているようです。これは今期だけでもなんとか取り繕えばなんとか凌げるとか考えているしょうもない上場企業が多い中で、とても誠意ある姿勢だと思います。
②の日販の支援は実務面での支援になりますが、意外と日販自体の業績もしぶとく堅実に頑張っていらっしゃるみたいですね。ここ10数年来アマゾンの普及に侵食されて街の書店が半分以上無くなってしまった経緯を考えると大変だとは思います。ただ本来であればアマゾンが今やっていることを、せめて21世紀初めに日販さんやらトーハンさん、もしくは文教堂みたいな書店チェーンが出版社とタッグを組んでやっておくべきだったんじゃないでしょうか?
今からでもイーブックイニシアティブジャパン(3658、東1)に資本参加させてもらえるようみんなで孫さんに頼んでみてはどうですか?