田辺三菱製薬(東1、4508)へ親会社三菱ケミカルがTOB

三菱ケミカルが田辺三菱製薬に2,010円でTOB開始


2019年11月18日本日の15:30に三菱ケミカルHDが56.39%保有の子会社である田辺三菱製薬に公開買付を行うと発表しました。

TOB価格は2,010円と、本日終値1,338円より約5割増しの価格です。明日から2020年1月7日までの31営業日。買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレーおよびカブコム証券です。決済は1月15日の予定で、買付株数の上限は定めないため上場廃止になる公算です。

買収にかかる代金約4,917億円は全額三菱UFJ銀行が融資を付けるとのことです。

値幅制限は明日が+300円ストップ高の1,638円として、その翌日に400円が上限となるため明後日11月20日に2,000円弱で寄り付くと思われます。

 

開示をざっと読んでみました。本年7月30日に三菱ケミカル側から田辺三菱側に申し入れがあり、値段交渉の後に10月30日に妥結したようです。この日に2Qの決算発表が行われています。三菱ケミカルのグループ内でシナジー効果が発揮できていないとかなんとか。実際のところ、田辺三菱製薬はノバルティスとの係争を抱えていて見通しに不安があった点と、三菱ケミカル側が「コングロマリット・ディスカウント(親子上場によっての過小評価)」を気にしていた点が原因のようです。

ちょっと新聞を見返して見たら、10月10日の日経電子版でこんな記事が出ていました。

 

「三菱ケミカルHD、高まるグループ再編のマグマ

三菱ケミカルホールディングス社内で上場子会社の出資見直し論が浮上している。注目は56%出資する田辺三菱製薬と、51%出資する大陽日酸の扱いだ。企業統治改革の流れが強まるなか、親子上場は少数株主との利益相反が起きるなどとして、投資家から批判されている。三菱ケミHDが出資形態の見直しに踏み出せば、「コングロマリットディスカウント」(企業価値が過小評価されている状態)の解消に向けて前進する。

 「ホールディングスと事業会社の関係性については、考え直す時がきている」(三菱ケミHDの越智仁社長、8月の記者会見)

「支配的な親会社が存在する上場子会社のガバナンスが手つかずのままであるという批判を放置すれば、投資家の日本市場に対する信頼が損なわれる恐れがある」(三菱ケミHDの小林喜光会長、3月の政府の未来投資会議)

上場子会社の出資形態の見直しについて、前向きな発言が三菱ケミHD首脳から相次いでいる。越智社長らの視線の先にあるのが、田辺三菱と大陽日酸だ。」(以下略)

日本経済新聞電子版 2019年10月10日 2:00 より抜粋

 

三菱ケミカルはすでに結構前から親子上場を見直す姿勢だったことが記事にちゃんと出てました。残念ながら見落としてました。10月30日の決算発表と同時に開示したのでもなかったんですね。

 

と、いうことは。

明日の大陽日酸(東1、4091)はどうなるのでしょう?

うーん。今回の田辺三菱製薬に結構な金額をかけるので、仮に大陽日酸の本日の引け値で計算しても5,600億円ほど必要です。さすがの三菱でもそこまですぐにお金を用意するのは厳しいでしょうか。

でも大陽日酸は業績を見ても孝行息子ですし、手をこまねいていたらもっと費用がかかるかもしれません。ただ今回の件で手の内を晒してしまった以上すぐにはやらないかもしれませんね。