倉元製作所 ADR申請で上場廃止をギリギリ回避

倉元製作所 (5216.JQS )がギリギリまで引っ張って延命策を出しました。おそらくこれでとりあえず上場廃止は免れる事になりそうです。

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倉元製作所HPより

 

債務超過解消のための方法として増資しかないと思ってましたが、「事業再生ADR」という手があるのをすっかり忘れていました。最近だと文教堂(9978、JSQ)や曙ブレーキ(7238、東1)が使った方法です。このままだと倒産するからと銀行へ債権放棄をお願いして身軽になるやつですね。開示にある通り、今回のADR申請によって少なくとも債務超過による上場廃止の猶予は1年延びます。それだけでも儲けもんじゃないですか?時間は結構稼げますよ。

 

融資残のある各銀行は当然貸倒引当金を積んでいるのでADRにはおそらく応じるでしょうけど、成立しない可能性もありますし、仮に成立したとしても業績が回復するかどうかはこの場合微妙な気がします。遡ってみても5年以上最終黒字を見たことがないし、継続企業の疑義(GC注記)は確か10年以上前から付いてますよね。事業が液晶ディスプレイって聞くだけで前途多難な響きですけど。利払い負担が軽くなったところで焼け石に水のような気もしますが。だってスポンサー決まってないでしょ?

 

再建計画の内容にスポンサーは必須になるのではないでしょうか。

2018年6月25日にADR申請を行った田淵電機(6624、東1)では幸いなことにダイヤモンド電機が第三者割当増資を引き受けてくれたため、傘下に入り、先日2019年9月末で株式交換により完全子会社化されました。

文教堂は出版取次大手の日販が、曙ブレーキは半官半民の投資ファンド、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)が実質的なスポンサーに付き再建計画を進めることになっています。

このようにADRを申請、受理されたからと言ってオールオーケーというわけでは当然ないわけです。2013年8月に倒産したワールド・ロジ(9378、JQS)はADR申請を行ったにもかかわらず、銀行がヘソを曲げたため成立せずに破産申請に追い込まれるという憂き目を見た、そんなケースもあります。

 

倉元製作所のような液晶屋さんをテコ入れしてくれるスポンサー、どこが思いつきますか? 結構前から探していたはずなんですよねえ。

 

なにはともあれ、延命おめでとうございます。

 

 *2020年3月17日に以下の続報を投稿しました

<倉元製作所に関する過去の記事もご参照ください>