ファッションビル運営会社のパルコ(8251、東1)へ親会社のJ・フロントリテイリング(3086、東1)が公開買付を行うと発表しています。
パルコのロゴ
公開買付価格は1,850円と本日2019年12月26日の終値1,378円に対して約34%のプレミアム。買付期間は2020年2月17日まで。代理人は野村證券です。
買付株数に上限はなく完全子会社化を目的としているため上場廃止になる公算です。
買収金額は約657億円、野村キャピタルから670億円を上限に借り入れを行う予定。
公開買付者であるJ・フロントリテイリングは2007年に百貨店である大丸と松坂屋が合併してできた持株会社で、2012年よりパルコを連結子会社化していました。現時点で発行済株式数の約65%を保有しています。
パルコは開業以来、様々な会社の子会社として変遷してきました。以下は親会社、大株主の変遷です。
1957年丸物(近鉄百貨店)の子会社として開業
→1969年西武百貨店(セゾングループ)傘下へ
→1990年代にセゾングループの解体に伴い森トラスト傘下へ
→日本政策投資銀行も資本参加
→2011年イオンも資本参加
→2012年2月森トラストがJフロントへ譲渡
→2012年8月、日本政策投資銀行がJフロントへ譲渡
2012年3月にJ・フロントは森トラストより33,22%を取得、さらに同年8月にTOB(買付価格1,100円)で日本政策投資銀行などから買付、現在の約65%まで比率を引き上げて今に至ります。
上場企業としてのパルコは1963年に店頭登録(今で言うJASDAQ上場)としてスタートしています。元々は池袋の駅ビル開発からスタートした会社ですが、西武百貨店傘下に入ってから堤清二氏率いるセゾングループの一員として、1970年代から80年代にかけて独自のカルチャーを打ち出します。1973年「渋谷パルコ」を開業、それまで東京都区部では繁華街として新宿や銀座に比べてまだマイナーだった渋谷を現在の「若者の街」として変えたのはパルコだと言われています。
昨日2019年12月25日にパルコが開示した3Q短信と公開買付価格1850円に基づく各指標は以下のとおりです
EPS(予想) =65.28円
BPS(3Q実績)=1227.65円
PER =28.34倍
PBR =1.5倍
買付価格1850円もまあ妥当なのでしょう。ちなみに直近10年以内に市場価格で1850円をつけた日はありません。2年ほど前に1600円程度だったのがせいぜいです。
12月27日の値幅制限は300円ですので気配はおそらくストップ高の1,678円で張り付くでしょう。翌営業日の12月30日に1,850円手前で落ち着くものと思われます。
やはり親子上場は解消されていく風潮ですね。