永谷園が3,100円でMBO

永谷園HDが取引先で筆頭株主である三菱商事の力を借りてMBO(マネジメント・バイ・アウト)をかける事となったそうです。(2024年6月3日引け後)

 

発表前の株価2,240円(2024年6月3日終値)

公開買付価格3,100円

買付者は「エムキャップ十二号」(丸の内キャピタルのハコ、実質三菱商事がバックについた創業家ビークル)

代理人は野村證券

期間は2024年6月4日から7月16日までの30営業日。

成立すれば上場廃止の見込み。応募株は全て買い取る予定。

発行済株式数は19,138,703株。うち自社保有株が1,663,937株(約8.6%)あります。

BPS (一株純資産)は2497.41円

プレミアムは終値比38.4%

一株純資産に対して24%

まあ大正製薬のように安すぎはしないけどどうなんでしょう?

 

現在の筆頭株主は三菱商事で12%程度を保有、創業家の永谷一族が合計8.8%程度を保有しており、ほかにはおそらく言い出しっぺの三菱UFJ銀行が約4%、松竹、大正製薬、大日本印刷などが8%ほどを保有。これだけでざっくり3分の1です。残りの66%ほどが浮動株です。この浮動株主のうち半分が公開買付けに応じるかどうかが成否のカギなんでしょう。

 

本件の買収金額は約480億円なり。

と言うか永谷園って時価総額500億円台の会社なんですね。意外とちっさくて草。

 

三菱商事はケンタッキーを売ると間髪入れず永谷園?

たしかにこの絵図を見ると三菱商事っぽいニオイがしますなあ。

 

5月14日に発表してた決算ですけど、妙に弱気な見通し数字出してきて株価下げてるじゃないですか。

まあ別に永谷園だけじゃなく日本企業って、本決算と同時発表する通期予想数字で、変に奥ゆかしい見通しを語って弱ぶるお作法ありますよね。

そりゃ3ヶ月毎の数字しか見られないアメリカ企業と違って、1年通しの数字言えって言われりゃ低めに言っといて損はないですからね。あとから3Qあたりで上方修正すりゃいいやって、そらそうなんですけど。

 

ただ当然本件MBOは数ヶ月前、5月14日はもちろん2024年3月末には内々で決まってたハナシっすよね。

(経緯や時期は上記のリンクに書いてありました)

オーナー家の永谷一族と財務はそりゃ別者で数字に関与とか操作とかは「無い」のでしょうし、「無い」としか言いようがないのだとは分かってますよ?茶番臭いいきさつのテンプレをクドクド書いてますし。

でもねえ?

こういうMBO案件はいつも疑いの目で見ちゃうんですよ。だってMBOって、言ってしまえば「究極のインサイダー取引」じゃないですか。

 

18ページ目記載


2025年3月期には設備投資額が増加しFCFが大幅減

2027年3月期には設備投資額が減少しFCFが大幅増

これじゃね?

会社のカネで設備投資するのでキャッシュフローが悪くなるタイミングで株価が下がり創業家でMBO。再来年以降、投資を回収するキャッシュフローは創業家がおいしく頂きます、そのキャッシュで借りた買収資金返します、というスキームに見えなくもない。

あとは長い付き合いの三菱商事と山分け。

 

ホントにそんな事ない?