日銀が金融緩和解除の条件に挙げていた春闘の結果がほとんど出揃って、多くの企業は「来期」の給料が上がるようです。
ところが4月の給与明細を見て、
「あれ?上がってないじゃん。ベースアップとか言ってたのアレ何なん?」
というお気持ちになるのはわかります。
大抵の場合、賃上げは7月給与からなのです。
なぜ7月からなのか?
それは今後1年間のお手取りを計算する上で、その方がちょっとだけお得だからなのです。
社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料など)は給与の額面から引かれるのはもちろんご存知とは思いますが、いくら引かれるかの計算ってご存知ですか?
社会保険料は4、5、6月の3ヶ月分の給与額面を合計して3で割り、「標準報酬月額」の表に当てはめてどのランクになるかを決められ、そのランクごとの金額を取られる決まりになっています。
(ココはFPの試験に出ます。)
と言うことは、この4〜5月に残業代とかが増えたりすると来年までの社会保険料が増えてしまうことになります。
もちろん社会保険料が増えても4月給与から額面が増えていればお手取りも増えるのでしょうが、会社としては賃上げ額以上に負担が増えるという現実があります。
なぜなら社会保険料は「労使折半」。会社側も同じ額を国に納めなくてはだからです。
例えば額面給与が24万から25万に賃上げ(+1万円、約+4.1%)になったとして上記の表で計算すると、
月額報酬は240,000→260,000
厚生年金保険料43,920→47,580(+3,660、賃上げ分の36.6%、労使全額)
厚生年金保険料21,960→23,790(+1,830、賃上げ分の18.8%、労使折半)
つまり会社は1万円の賃上げをすると厚生年金保険料を入れて11,830円の毎月負担が増えるわけです。計算が面倒なので健康保険料や介護保険料は計算しませんが、ざっくり7%の賃上げで10%くらい会社側の固定費が増えるのです。
そんなら
「カウント期間が終わってからの7月分からで良くね?だって喜ぶの国だけじゃん。」
と言うことなのではないかと。
ちょくちょく日本年金機構から届く「ねんきん定期便」に記載されている、「あなたの払った厚生年金保険料」には、労使折半で会社が払ったはずの半分は、「アンタが払ったんじゃないので載せてないからね」という扱いみたいです。
会社が払った分も元はと言えばボクらの営業収益が原資なわけで、無かった事にされてるような、すんげえ欺瞞くさい気がしますけど。誰か厚労省にフィデューシャリー・デューティーって知ってるか聞いてみてくださいよ。誤認を意図的に誘発してますよね。
ちなみに上記の表をよく見ると、月給695,000円以上(だいたい賞与込み年収の額面で1,200万円弱程度)なら厚生年金保険料は上限に達してそれ以上負担が増えなくなります。
よく、
「年収1,000万は一番負担が大きい」
「年収1,200万以上から余裕が出始める」
と言われているのはこれが根拠だと思われます。
確定申告を終えたどこかの芸人さんが
「税率見たんですけどこれ、『働いた罰 』っスね!」
とか仰っていたのを見ました。でも芸人さんは給与所得じゃないでしょうから、社会保険料ってサラリーマンより安いはずなんですよ。
それに比べたら20.315%って率としては安いと思いません?累進課税じゃない上に社会保険料かからないんですよ?
日本と同じくらい高い税率として有名な米カリフォルニア州に住んでいた故スティーブ・ジョブズ氏は、アップルからの給料は毎年「1ドル」だった事は有名な話ですが、言うまでもなくジョブズ氏は億万長者でした。
極端なことを言えば、値上がりで資産が増えても売らなければ収入ゼロという事になりますよね。東京都や大阪府在住なら子供の私立中高の学費も出してもらえるんですよ?だって億万長者なのに収入ゼロだから。
*東京都の場合昨年度まで所得制限があり、だいたい910万以上給与所得がある人は子供の学費補助は貰えませんでした。今年2024年度から百合子が
「所得制限無しにするよー!」
と言い出しました。そう言えば今年の夏は知事選だったわ。
まあつまり株式投資は最強です。
NISAなら、もはやチートと言っていいんじゃないですか?