中華資本注入の引き延ばされているお返事は?
JDI(6740 東1)2019.06.14 16:45「(開示事項変更・経過)資本業務提携、業務提携契約・合意、第三者割当新株式・新株予約権付社債発行、親会社・主要株主・筆頭株主異動、定款変更のお知らせ」
「各出資予定者から、2019 年6月14日までにそれぞれ出資の実行に必要とされる内部の機関決定に諮る旨の報告を受けた旨をお知らせしておりましたが、現時点において内部機関の決定内容の通知を受けておりません。」
「当社は、本日予定されている割当予定先からの通知の内容を踏まえ、各出資予定先からの出資条件等に変更なく出資の決定がなされた場合においては、通知受領後に速やかに開示いたします。
一方、通知内容により、関係者との再協議を要する場合においては、速やかに係る協議を行い、その結果につき決定次第開示いたします。」
中華資本(中台連合)からの資本注入って2009年3月10日に会社更生法申請で倒産したパシフィックHD(8902、東1 不動産業)や2016年4月に鴻海に救済的買収されたシャープ(6753、東1)の一連の流れでも、とにかく引っ張るだけ引っ張って結局話をなかった事にしたり、とにかく安く買い叩くだけ叩くというイメージがあるんですよね。「6月14日までに返事をする」という約束がすでに守られていないのに交渉もへったくれも無いような気がしますが。
それじゃこれからどうすんの?ということで、まず現状を確認してみます。
2019年3月末の時点で自己資本比率が0.9%まで落ち込んでいます。債務超過寸前です。適時開示情報に載せていることはあまりありませんが、多くの銀行融資は「財務制限条項(コベナンツ)」という条件が付いていて、〇〇になったら貸していたお金はすぐに一括で返してもらいます、という約束になっていることがほとんどです。「債務超過」は財務制限条項としてはもう当たり前レベルです。JDIはすでに3年前の2016年6月に、「2期連続で最終赤字」という条項に抵触したために、これ以上お金は貸せませんと銀行に言われたことがあります。
この「0.9%」というギリギリ加減がなんか怪しいなあ。「チャレンジ」してない?大丈夫ですよね?
相当資金繰りが厳しいのだろうということはありありと想像できます。
2019年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)を見ると、売上は11.3%減っているのに買掛金が去年の1178億円から1755億円へと50%近くも増えています。手元に現金がないので仕入先に支払いを待ってもらっているのでしょうね。
バックにいる日本政府系ファンドINCJ(産業革新機構)も持て余し気味ですので本音は手を引きたいのでしょう。そもそもソニー、日立、東芝など(3社が手放す前にトヨタ・三洋・エプソン・パナソニック、キヤノンの液晶部門を引き取っている)が儲からなくなったお荷物の液晶パネル事業を、経済産業省がメンツと雇用を気にして引き取って作った会社ですから。いわば「日の丸じるしのゴミ箱」と呼ばれて2014年の上場時には投資家にかなり不人気だったのを覚えています。
JDIはまず現金を大至急手に入れる必要があります。また早急に新しいスポンサーを見つけて交渉し、少なくとも3月末までに必要な金額を入金してもらう必要があります。現実的に現在交渉中の中台連合と話をつけるのは難しそうじゃないですか? でも返事を聞くまでは動けない契約なの?まあ中台連合は
「返事を聞く前に他と交渉するとはけしからん!出資交渉はナシね!」
と言いたいのが本音でしょうし。