早いもので6月も終わりましたね。儲かってますか?
デイトレードは基本的に1日の取引で「1銘柄の大きな値幅取り」を狙うのではなく、「大きな値動きの一部」を複数銘柄渡り歩くものだと思います。そのためにはターゲットとする銘柄をあらかじめ毎日寄り前に決めておく事が必要ですが、対象にしやすい値上がり率ランキングに頻出する低位株、ボロ株は6月末に動意付くことが多いような気がします。単価の低い株は値幅制限のパーセンテージが大きく、変化率(ボラティリティ)が極めて高いですし、また売られ尽くしてもはや売り物が出にくい状態にある銘柄も多いです。最近の不祥事絡みで注目された銘柄も十分に低位になっていますが、ちょっとしたきっかけで急騰したりもします。ではなぜ6月末に低位株は動きやすいのでしょうか?
ここではある仮説を立ててどうやってターゲットを絞るかのアイディアを、数回に渡って語ってみようと思います。実行する方ははあくまで自己責任ですけどお分かりですよね?あくまで仮説ですからね‼
決算短信
上場企業の決算は3月末が多いです。米国などでは12月決算が多いので、それに合わせて日本企業も12月決算銘柄が増えてきているようですが、それでも2019年3月末時点で65%(上場企業は約3700社)が3月決算となっています。
こうした現状からすると決算関連のイベントは日程が集中しているのがわかります。まず決算締めの3月31日から起算して最初のイベント期日は「決算短信」です。これは取引所(東証など)に提出する1年間の営業成績を速報として公表するものです。公表の方法は、「適時開示情報」(TDnet、ティーディーネット)という東証の電子公表システムに企業が自分でアップしています。ここで公表するのはインサイダー取引を防止する(つまり誰もが一斉に見ることができる)ことを主な目的としています。東証では45日以内の発表を行うよう指導しています。3月決算なら5月15日ですね。15日が土、日ならその前日の金曜日までに発表することになっています。ちなみに50日を過ぎても(5月20日、祝日の場合は月曜日まで一応待ってくれる)発表がないと東証から呼び出しを食らいます。
「〇〇くん?提出期限が過ぎてるよ?何かわけがあったんでしょ?東証せんせい怒らないから言ってごらん?」と、やさしく理由を聞かれます。「罰則がないから」という本音を言うはずはないのですが、市場からの評価は内申書より確実に下がります。
実際理由はいろいろで、その理由までTDnetに公表されます。宿題を出さないような素行の悪い会社の言い訳はなかなか面白く、その実深刻な事態を説明していることがあります。
では実際にその「言い訳」を見てみましょう。上記のリンクにある適時開示情報は1ヶ月前までしか見られないので実はあまり使い勝手がよくありません。そこで気の利く日経新聞社(しかも無料)がカスタマイズして下さっているこちらの「適時開示速報: 日経電子版」で見てみましょう。スマホでは見づらいかもしれません。
このような画面が出ますが、「会社名やキーワード」欄に『遅延』と入力し、次に検索期間から一番下の『過去1年以内』を選択して検索をクリックしてください。
するとこのような検索結果が出ます。
(今の時期、2019年6月末であれば検索期間は過去3ヶ月のほうが件数は少なくて見やすいです。今回は簡易に説明するために「遅延」でやりましたが、漏れなく検索するためには『延』1文字で検索すると「決算発表の延期」などもヒットします。概ね5月15日以前は「延期」を使っています。この場合「決算短信=決算発表」と考えてください。)
ここでヒットしたのはオンキョー、五洋インテックス、サクサホールディングス、日鉄鉱業、電気興業などが2019年3月期の決算発表を50日以内に出来ないことをお知らせしています。
オンキョー
「決算締めたあとに決まったんだけど、本業を売り飛ばすことにしたよ。だから今年僕自身がどうなるのかまだ分かんないんだ。」
五洋インテックス
「役員を総入れ替えしたので今まっ白なんだ!頑張って計算してるからもうちょい待って。」
サクサ、日鉄鉱業、電気興業
「不適切な、会計が、ありましたー。」(三重奏?微妙に音程が違う)
それ以外の開示も「遅延」の開示内容ですが、事象が何であれ遅刻は良いお知らせではないことは確かです
が、よゆーです!
この「決算短信の遅延」はネガティブな開示情報の中では軽症の部類に入ります。
当然決算は中身の数字が問題なのですから。決して短信という宿題を締め切りまでに提出できなかったからと言って退学処分になるわけではありません。
ただし、「有価証券報告書」を期限内に提出しなかった場合、罰則として原則上場廃止になります。
また有価証券報告書に嘘やごまかしを書いてしまった場合、経営者は懲役刑を食らうことがあります。
次回、「6月末はデイトレの書き入れ時? 低位株の探し方 ②有価証券報告書」
へ続きます。