小僧寿し 監査法人アリアが監査意見不表明

2020年3月5日の適時開示において、小僧寿し(9973、JQS)の2019年12月期決算内容について、監査法人が伝家の宝刀「監査意見不表明」を突きつけたことが明らかになりました。これは有価証券報告書の提出期限である今月末までにこの事態を解消しなければ小僧寿しは上場廃止になる可能性が出てきたということです。

株主総会の招集通知に添付される2019年12月期の計算書類などについて、監査法人アリアが要するに「信用できないっす!」とのたまっておられるわけです。締め後の2019年12月期決算の内容で、一番の問題であったのは債務超過の解消だったのです。前期に債務超過に陥っていたためにこの期の有価証券報告書ベースで解消できなければ上場廃止になる予定です。一応先月の2月19日に先んじて発表した決算短信では「900万円の資産超過でセーフ」ということになっていました。もっとも本来発表するはずの2月14日には発表できず延期になったので、どうも監査法人と揉めている雰囲気はあったのです。

アリアのこの監査意見を意訳すると、

『小僧寿しってさ、EVOやJFLAへのエゲツない株券印刷とかで一応ギリ債務超過かわしたよ?だけどたった900万のバッファーで大丈夫ですとか、どの口が言ってるのよ?去年みたいな方法で今年もイケますとか無理じゃね?つーかそもそもこの決算書ホントに正しいの?

といった事なのでしょう。アリアさんは監査業界でもソフト路線でイワしてるとっても優しい事務所さんですけど、そこにこんな事言われちゃダメでしょ。

「2019年12月期計算書類及びその付属明細書並びに連結計算書類に対する会社法招集通知の監査意見不表明に関するお知らせ」 2020年3月5日

 

東証の上場廃止基準に「監査意見不表明」という基準があります。これは金融商品取引法に基づく話で、具体的には有価証券報告書を提出する際にはかならず監査法人(公認会計士)の適正意見をもらってからにしてね、もらってないやつ出したら上場廃止にするよ、ということです(ただし東芝を除く)。今回の監査意見不表明は会社法に基づく話です。株主総会に提出する計算書にアリアが

「ダメ!ハンコ押せねーわ。ウチはこんなホントかどうか分かんねー決算書に責任負えねーし。」

と言っているので、

「ハンコ貰えないけど株主のみんなはそれでもいいよね?ダメっていうならもうおしまいだけどそれよりはマシでしょ?有価証券報告書の締め切り(小僧の場合は3月末、延期には承認が必要)までにはちゃんとした書類作ってアリアに分かってもらうようがんばるから!」

という現況です。つまり現時点ではまだクリティカルではないのです。もちろんかなりの危機的状況ですけど。

 

これまでにこういった会社法上での監査意見不表明という事態は小僧寿しに限らずしばしば発生しています。

例を上げてみると、

2016/06/03 サハダイヤモンド(9898、JQS)

2012/07/02 メルクス(7934、東2)

2012/03/01 山水電気(6793、東1)

2011/08/01 ECI(4567、名セ)

2011/03/02 山水電気(6793、東1)

2010/08/12 レイテックス(6672、東マ)

2010/04/16 総和地所(3239、JQ)

2010/03/03 山水電気(6793、東1)

2009/03/10 ディー・ディー・エス(3782、東マ)

2009/06/03 ゴンゾ(3755、東マ)

2009/06/03 ジェイオーグループホールディングス(1710、大2)

2009/02/27 倉元製作所(5216、JQS)

2009/02/23 クラウドゲート(2140、札ア)

2009/01/27 パシフィックホールディングス (8902、東1)

2008/12/05 オックスホールディングス(2350、大HC)

2008/11/11 ジアース(8922、東マ)現在社名は「日本アセットマーケティング」

2008/10/30 ノエル(8947、東2)

といった事例があります。

 

おわかりいただけただろうか・・・

現在生存しているのはディー・ディー・エス、倉元製作所、ジアースの3社のみ・・・

それらもあとどれだけ・・・

ともかくこのフラグはかなりの確率で逝っているわけです。

というより業績自体もう10年以上黒字になったことがないわけでしょ?いままで上場を維持できただけでも不思議です。

成仏って言葉、ご存知でしょうか?

 

*以下は以前掲載した関連記事です

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