倉元製作所のスポンサー契約と第三者割当増資の内容

難航していた倉元製作所への支援策が2020年3月13日の夕方に開示されています。最も注目されていたスポンサー(資金を出す支援企業)が決定したようです。それは国内の企業ではなく、公的機関でもなく、いわゆる中華資本でした。「ニューセンチュリー有限責任事業組合」という中国人が出資するファンドです。 

 

倉元製作所 スポンサー支援に関する契約書の締結、第三者割当による新株式発行、主要株主、主要株主である筆頭株主及び親会社の異動並びに業務提携に関する覚書の締結

以前の記事でも書きましたが、現在倉元製作所は事業再生ADR申請中です。債務超過に転落して上場廃止の猶予期間に入って1年と3ヶ月近く経ち、銀行融資の返済も滞っています。

デッドラインは今月末です。3月30日開催の第3回ADR承認も、債務超過解消も、全ては支援企業が現れてこれらの問題を解決してくれる(早い話とりあえず出資=カネを出してくれる)ことが必要だったわけですが、ようやくそれが固まったのです。

 

内容ですが、拠出資金は7億円です。債務超過額は前回の決算開示では3億円強あったはずです。半年近く経ってますのでそれ以上に増えているとは思いますが。また銀行からの借り入れは2.5億円ほどありました。また手元現金はほとんど無くなっていると思いますので運転資金(取引先への支払い代金、従業員の給与など)も早急に必要です。

使途は銀行への返済に2億、設備投資に4億、運転資金に1億弱使うそうです。

短期的には足りるのかもしれませんが、経営を立て直すのにはとても少ないような気がします。

 

そして出資についてですが、第三者割当として15,438,949株を1株あたり45.34円で割り当てます。これは実行後議決権ベースで50%を超えますので実質的に倉元製作所はニューセンチュリーの子会社になります。よく見かける株価下方修正条項付き新株予約権などではないのでこの点は評価できると思います。割当株価の妥当性について外部に算定してもらった現在の株式価値は「0円~81円」とされたそうなので実質タダよりマシということでしょう。ただ今後同様の増資が行われる可能性(必要性)はあると思うので今回の希薄化95.67%は序の口かもしれません。

 

開示の中で3年以上前から倉元製作所は鈴木社長たちがスポンサー探しに奔走していた事や、何度もスポンサー候補に逃げられたことが生々しく記載されています。お疲れさまでした。

 

ところで「ニューセンチュリー有限責任事業組合」の素性がよくわかりません。中国の方が出資している投資組合であることはわかりますが、深センの会社が本体で登記は世田谷区深沢8-6-6にあるようです。

ストビューで見ましたが表札に「K.SATO」とありますね。音楽家の方でしょうか?

いまいち繋がりがよくわからないですね。今回取締役に就任する小峰衛氏が顧問税理士という関係なのかも。

 

 ただこれでメドは立ちましたが、3月30日までに株主総会の承認と銀行団のADR承認がなければスキームは崩壊しますし、なによりこのコロナショックでゴタゴタしている中で4月7日にニューセンチュリーからの振り込みがなされるのかを注視したいと思います。中華資本はトンズラ実績が多いですからね。