花月園観光、逝く  (前編 )2019.11.01に上場廃止決定

花月園観光(9674、東2)が9月30日の16:45に上場廃止決定の開示を出しています。

 

これにより11月1日に上場廃止(売買可能なのは前日の10月31日大引け)となりました。今年は1月17日のシベール(2228、JQS)に次いで2件目です。上場廃止基準である「時価総額」基準(10億円未満)に抵触して上場廃止になった事例は、2012年のRHインシグノ(8514,札証)まで遡りますが2006年以降で14件目です。

 

倒産ではないので無価値にはならない

今更言うまでもないですが、民事再生手続きや会社更生手続きの申請でも破産でもないので、いわゆる倒産ではありません。会社自体は普通に存続します。株式が市場で売買できなくなるだけです。無価値になるわけではありませんが、現金化できない株を持っておくわけにも行かないのが普通の投資家なので多くの売り注文が殺到するのです。

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3ヶ月チャート ヤフーファイナンスより


ただし直近の決算では2019年3月末時点で一株あたりの純資産が240円ほどありますし、1Qの業績も営業利益や経常、純利益も黒字、売上も微減ながら一応キープできているので、この240円近辺まで下がれば株価はいったん落ち着くのではないでしょうか。それより下がるのであればどこかのディストレスファンドが買いに来るでしょう。いまのところ4分の1近くを保有する筆頭株主の東京ドーム(9681、東1)も花月園株を手放したという開示は出ていませんし。10月末時点でもし240円を大幅に割れていれば当面の塩漬け覚悟で買ってみるのも面白いかもしれないです。再上場や金銭交付の可能性が無いわけでは無いですからね。

事業内容

花月園観光は、一言で言えば「公営ギャンブル関連事業」を行っています。競輪、競馬、オートレースの場外売り場の運営と、その施設の不動産賃貸を事業としています。

まあ流行らない事業ですね。社名の花月園観光にある「花月園」とは、かつて横浜市鶴見区にあった遊園地の名前です。いまも京浜急行に「花月園前」という駅名が残っています。大正時代に開園した遊園地だったそうで戦後直後の昭和21年に閉園しました。

ちょっと脱線しますが、かつて存在した遊園地の最寄り駅の駅名にその名残を見かけます。川崎市多摩区には小田急線向ヶ丘遊園駅というのがありますが、遊園地自体は2002年に閉園しています。東急東横線の多摩川駅は2000年まで「多摩川園駅」という駅名でしたが、これは1979年まであった遊園地の最寄り駅でした。

遊園地花月園が閉園したあとに、神奈川県が競輪場を建設することになります。この競輪場を運営するために設立されたのが花月園観光です。当初はホテルなどの運営も手掛けていたのが「観光」と社名に入っている由来です。

京急花月園前駅の西側に圧迫感のある丘が駅前の歩道橋から見えます。今は工事中のようですが、かつてはこの広大な丘に花月園競輪場がありました。平成に入るとバブル崩壊後の景気低迷で売上は減少し、2008年のリーマン・ショックのあおりで競輪場は存続が難しくなりました。2010年3月末に競輪場は廃止され、花月園観光は公営ギャンブルの運営ノウハウを拠り所として場外サテライト売り場で生き残りを図ります。

 

(中編へ続く)