この前東証2部から名証2部へ都落ちした先でも時価総額基準に抵触し上場廃止の猶予期間に入っていた小島鉄工所 (6112、名2)へ6月26日にTOBがかかりました。
公開買付価格は570円。買付代理人はSMBC日興証券、期間は2020年6月29日(月曜日)から2020年8月12日(水曜日)まで(30営業日)となっています。買付予定数に上限はなく全株の買付を企図しているため同社は買付終了後に上場廃止になる見込みです。
買付は児玉本社株式会社という創業家一族が本年5月14日に急遽設立したばかりの持株会社が行うことになりました。いわゆるMBO(マネジメント・バイアウト)です。
児玉正藏氏は小島鉄工所の代表取締役会長で筆頭株主。児玉恒二氏、児玉三郎氏はともに正蔵氏のお兄さんで現相談役で同社元代取社長。
有価証券報告書-第119期(平成30年12月1日-令和1年11月30日)より抜粋
公開買付者である「児玉本社株式会社」の所在地、群馬県高崎市歌川町13番地のストビュー
家でけー!これ壁なんか何メートルあるん?
児玉正蔵会長は高崎商工会議所会頭も務める地元の名士であり、児玉一族は高崎で小島鉄工所以外にも不動産業、倉庫業、ゴルフ場、ボウリング場などを経営する資産家として有名です。
同社は以前の記事「小島鉄工所 都落ち先からも早速追放の猶予期間入り」で触れたとおり、2020年3月に東証2部を上場廃止になり元々重複で上場していた名証2部で上場企業として生きながらえているわけですが、児玉正蔵会長は名証2部も時価総額5億円の上場廃止基準抵触を挽回することは難しく上場廃止も不可避と見て、このたび非上場化に踏み切る決断を行ったそうです。買付代金は足利銀行、群馬銀行及び横浜銀行から総額9億円を限度として借入を起こす予定との事。ちなみにこの3行は上記の通り上位株主でもあります。
買付価格の570円は2019年11月30日時点での1株当たり純資産額である777.89円を下回っており、PBRは0.73倍とお安い感じです。もともと流動性の低い銘柄ですので妥当なところなのかもしれませんが、まあ業績自体はすぐに倒産しそうにはないようですしね、どうでしょう?
しかしそれに目をつけているのかどうかわかりませんが、2020年7月2日の終値は625円(+48円)とTOB価格をオーバーランしちゃっています。先日やっと決着がついたユニゾHDのTOB合戦は買付価格が幾度となく引き上げられたという事例を思い出さなくもないですけど。
「本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定とのことであり、その場合に当該当社の株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該当社の株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定」とあります。
つまりTOBに応じないと突っ張っても570円で強制的に買い取りますということですね。
基本的にはスクイーズ・アウトのスキームであり、同族で4割近くの議決権を押さえている状態ですが、現時点では過半数に満たないわけでして、果たして現在見えざる対抗馬が買取価格引き上げの要求を目的に買い進めているのでしょうか?
小島鉄工所に関する以前の記事もご参照ください。