昭和電工傘下の昭光通商へアイ・シグマ・キャピタルが796円でTOB 安すぎでは?

昭光通商TOBの概要

昭光通商 (8090、東1)に丸紅資本のアイ・シグマ・キャピタルが公開買付けを本日2021年3月4日に発表しました。公開買付け価格は796円。受付期間は4月15日までの30営業日、代理人はSMBC日興証券。株数の下限は発行済み株数の51.77%で上限は設けないため、成立した場合は上場廃止になる見込みです。公開買付者の名義は「SKTホールディングス」となっています。筆頭株主の昭和電工とは話がついているそうです。まあ最近はやりの「親子上場廃止」事案ということなんでしょう。

 

昭光通商はどんな会社

昭光通商は昭和電工が株数の43.79%を保有する商社で、さまざまな素材、特に化学製品や金属を扱っています。業績は無配が続いてはいるものの実際はなかなか良く、直近の数値では

EPS=128円

BPS=1,198円

ROE=18%

自己資本比率=26%

と、見栄えもよいです。本日の引け値720円を基準にすると

PER=5.62倍

PBR=0.6倍

とお安く思います。

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昭光通商ホームページ 業績・財務ハイライト(https://www.shoko.co.jp/ir/highlight/highlight2/)より抜粋

この案件で昭和電工は保有する昭光通商株式43.79%のうち、15%弱はそのままにして残りの約29%を売却することになっているそうです。つまり連結会社から外すことになりますね。

 

上述の通り、一株純資産(BPS)が1,200円近くあるのに796円であわてて売却を急ぐ昭和電工にはどんな事情があるのでしょうか?

思い返せば、昭和電工は2019年12月18日の発表で日立化成(現・昭和電工マテリアルズ)を1兆円近いTOBで買収していました。日立化成といえば日立グループの「御三家」と呼ばれた巨大企業で、買収する側よりデカい会社だったはずです。そのため昭和電工はみずほ銀行はじめあちこちから借金しまくり企業になっちゃってました。

今回のTOBの概要を読むと、「SKTホールディングス」に買収資金として124億円を融資する銀行は3行。おそらくアレンジしたのはみずほ銀行です。そもそも丸紅のメイン銀行もみずほ銀行です。

はやく資産売却を行って借金を減らしてくれないと銀行にとってはリスクが高まるわけで、「売れるものは早めに片づけてほしいんですけど」とせっついたのかもしれません。昭和電工グループでは唯一の上場子会社だったわけですからね。

 

それにしても、TOB価格796円は安すぎやしませんか?

なんか売り飛ばされる側の昭光通商さんはかなり不満げな態度ですよ?


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SKTホールディングス株式会社による当社株券に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」より抜粋

 

上記のリンクをご覧いただくと、昭光通商側がTOB価格に関しては相当ゴネてみたけど押し切られちゃった感がくどくどと描かれているのが見て取れます。

 

村上さん!日本アジアGのバトルは撤回して一応のめどはついたんでしょ?

次の横槍はこっちでどうですか?

 

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