建機のニッパンレンタルが1,050円の公開買付けでMBO 上場廃止の見込み

群馬県に本拠を置く建機レンタルのニッパンレンタル (4669、JQS)に、2代目代表取締役の石塚春彦氏がMBOを発表しています。(2021年3月11日の15時発表

公開買付けを行う名義人は「株式会社赤城」という石塚社長作成のハコで、TOB価格は1,050円。期間は4月22日まで30営業日で公開買付代理人はみずほ証券。下限1,150,650株、上限なしのため上場廃止の見込み。予定株数は1,907,191株で買収金額20億円。資金はみずほ銀行が融資と優先株引受で用意します。

3月11日終値は918円と、プレミアムは15%弱でちょっと渋め。

 

ニッパンレンタルの沿革 

ニッパンレンタルは1979年6月に石塚社長の父で前会長の石塚幸司氏が創業。群馬県前橋市が本拠で北関東を中心に、主にブルドーザー・パワーショベルや乗用車のレンタル等の業務を行っている企業です。1997年4月に当時でいう店頭公開として上場、大証ジャスダックを経て2013年7月の東証・大証合併により現在は東証ジャスダック(スタンダード)に上場しています。

本件のマネジメント・バイアウトの趣旨は、意訳して言えば「建機レンタル業界の競争激化とか売上・収益の縮小がひどいんで、なんか挽回策が必要っす。だけど株価とか業績開示とかややこしいし、上場してると色々カネもかかるじゃん?増資とかするつもりないしぶっちゃけ上場しておく意味ないんだよねー。」という感じです。

 

ニッパンレンタルの業績・財務

 

売上は最近伸び悩み、利益はコロナ禍のせいで減益。まあ良くも悪くもない感じ。

 

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ニッパンレンタル2020年12月期決算短信 2021年2月15日発表より抜粋

EPS(一株利益)は2020年12月期で60.15円。

BPS(一株純資産)は2020年12月期で1024.38円

つまり

ROE (株主資本利益率)  5.967%

PBR は直近株価の918円で0.89倍だったわけです。TOB価格の1,050円とほとんど一致

自己資本比率は18%ほど。ただし直近でバランスシートには22億円の現預金があります。

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ニッパンレンタル2020年12月期決算短信2021年2月15日発表 より抜粋


株価はここ5年程800円程度から上昇基調の兆しが見えないこともない、くらいの感触。

 

株主構成

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四半期報告書第42期第2四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)より抜粋

筆頭株主の「高柳キャピタル」とは石塚春彦社長の資産管理会社で7年ほど前に父親の石塚幸司前会長から同社株式の名義を移しています。上記の大株主のうち少なくとも合計で31.1%は石塚家の議決権なのでこれから新たに30%近くの株主が出現しなければTOBは成立するでしょう。資産管理会社を作って事業承継は計画的に。

 

そういえば隣の高崎市に本社を置く元上場企業、小島鐵工所(6112、名2)もMBOで上場廃止になりました。あの案件は足利銀行がバックアップして時価総額基準抵触でやいのやいの言われて面倒になったオーナーの児玉家がMBOを発表したら、愛知県の個人投資家から物言いがつき市場で買い進まれてゴタゴタした結果、TOB価格の引き上げをせざるを得なかった件を彷彿とさせます。MBOする側も最近の事例を見てTOB価格に関しては学習してきてる形跡が見て取れますね。

本件で主導したとみられるみずほ銀行はメイン行の群馬銀行や証券主幹事の野村を出し抜いて買収金額よりかなり多めの約76億円(半分は群馬銀の枠だそうです)の大口融資先獲得、優先株アレンジ・引受で結構なフィーも頂くことになったんじゃないでしょうか。

やはり最近よく見られるM&A案件は金融機関の営業活動が実を結んでいる証左なのでしょうね。