光陽社 時価総額の上場廃止基準で悩まされた末にMBO

光陽社(7946、東2)TOBの概要

2021年3月8日に代表取締役社長によるMBOを発表しています。公開買付価格は935円。期間は4月19日までの(30営業日で公開買付代理人はSBI証券。下限477,412株、上限なし。発表前直近の3月8日終値は716円。上場廃止の見込み。 買収金額は約10億円の予定。

犬養家の御曹司、岬太社長が2ヶ月前に銀座のバーチャルオフィスに作ったハコ「株式会社KK」が今回の公開買付けの買付名義人です。

 

光陽社は以前の記事の

でちょっとだけ触れましたが、慢性的な株価と流動性の低下によって、時価総額10億円未満という上場廃止基準に抵触して、2年連続で猶予期間に指定されていました。解除されたのは先日の3月2日です。本件のマネジメント・バイアウトは「またこういうことがあるかも。それではほかの株主の皆さんに申し訳ないので買い取らせていただきます。」という意図とのことです。

 ちょうどピッタリの金額10億円を、商工中金からの借り入れで用意して今回の買付代金に充てる用意をしたそうです。


光陽社の沿革

創業は1947年、元々は大阪証券取引所2部に1989年から上場していた同社ですが、関西を中心に営業をしながら業績は傾いていき、リーマンショック直前の2008年6月4日に当時取引先であった新宿の同業者、株式会社「帆風」(バンフー)に3億円の増資を引き受けてもらいます。帆風のオーナーであった犬養俊輔氏は当時同社の社外取締役でしたがこの時より実質的に光陽社は実質的に帆風の子会社となります。

2013年に関西から東京に本社移転し、ほぼ同時期に大阪証券取引所と東京証券取引所が合併したため取引市場も東京に引っ越すことになり、以後現在まで東証2部上場を細々と続けてきました。

現在の株主

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光陽社 有価証券報告書 2020年7月31日提出 より抜粋 

筆頭株主の学校法人日吉台学園は、千葉県の成田空港の近くにある幼稚園を運営する学校法人で、帆風創業者で相談役の犬養俊輔氏が理事長を務めるところです。株式会社片山は犬養俊輔氏が同社の面倒を見るようになる前のオーナー家(7位株主片山英彦氏)のプライベートカンパニー(資産管理会社)と思われます。ここには載っていませんが、同社は自己保有株式(いわゆる金庫株)が20%程度あります。これは2018年6月7日に帆風の子会社名義で保有していた光陽社株式を3.9億円で自社株買いとして買い取ったためです。

 

業績と資産

業績は全く振るいません。売上は漸減しつつ利益率は低下。前期はとうとう赤字転落しています。今期2021年3月期の予想も赤字拡大の見込みです。しかし社歴の長い企業によくありがちな「資産だけはある」状態です。

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2021年2月15日提出 四半期報告書-第73期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)より

この最新のバランスシートを見ると自己資本は余裕で50%を超えているし、現預金も18億円近くあります。

あれ?時価総額とか買収金額って10億円は安くね?

 

確かに株価が安いまま放置され続けたのは、万年低収益企業(ROE1%程度)だからだけではなく過疎った東証2部の片隅で生きてきたからかもしれません。

収益性はともかくBPS(一株純資産)は直近1,982.63円。今月締めの予想で1株当たりマイナス105円程度としても935円で1,877円ほどの純資産の株を買い取りますということですね?

株主としては解散してみなし配当してくれた方がいいのでは?

まあ先代の犬養俊輔会長が救済的な増資を引き受けてから足掛け13年、これ以上は上場していても大してメリットなさそうだし市場の規則に煩わされるのにも付き合いきれない、と言う気持ちも分からんではないのですけどね。