新規上場 i-plug(アイプラグ)はどんな会社?IPO条件や初値見通しについて

i-plug(4177)が3月18日木曜日にマザーズへIPOします。

同社は就職関連サービスを提供するインターネット企業です。代表取締役CEOの中野智哉氏らが2012年に設立した会社で、「OfferBox(オファーボックス)」という、求人側企業が求職登録している新卒学生にオファーを送る「スカウト型」の求人システムを運営しています。既存の求人サイトとは逆スタイルの方式で、現在約4,300社の企業が利用し、新卒学生の25%、約10万人が登録しているという大型求人チャネルへと成長しました。数年前にリクルート社が運営する最大手就活サイト「リクナビ」が不祥事を起こし、シェアが低下する中で大学生の支持を集めたのではと思います。

もともと大学生の新卒就職先は、3年で3割が辞めると言われていました。しかし個人的なハダ感ではここ10年でそんなもんじゃ済まないレベルになったのだと思います。大手金融機関は「比較的」ホワイトだと一応言われていますし、福利厚生や給与水準は新人や若手としては他の業界に比べてもかなり高い水準だと思います。にもかかわらず4年目くらいの会社にとって収穫期に入る頃には半数ほどしか残っていないんじゃないでしょうか。

原因についてはいろいろと個人的に言いたいことは山ほどあるのは置いといて、一番多いと思われるのは、「実際働いてみて思ってたのと違う」というやつじゃないでしょうか。

実際問題いま企業は深刻な人手不足に陥っており、新入社員が減る→中堅社員の負担が増える→中堅も辞める→管理職が疲弊する→それを見た新入社員が自分の未来の姿を悲観してさらに辞める、という無限地獄が日本の企業のあちこちで繰り広げられているのが現状でしょう。

そんな阿鼻叫喚の就職市場に一石を投じて新しい波を起こしてくれている、と期待したい企業のIPOです。

 

事業内容・沿革

創業者の中野智哉氏は1978年生まれの42歳。 2001年に中京大学を卒業時、新卒として就職先は決まっていなかったそうです。3か月後に中途として入社したのは求人広告会社の「株式会社ロード」という会社でしたがこのとき時代は就職氷河期真っただ中。そこは超ブラック企業だったそうです。中野氏は即退職しニートの道へ。その後同業他社で2000年にジャスダックへ上場したインテリジェンス(コード4757、現パーソルキャリア)に再就職するも営業成績は最下位。営業って仕事は「数字が人格」と言われることが多く、下位成績者は見せしめと士気向上のためにハッキリと人権と人格を否定されます。その後中野氏はそこで営業成績を盛り返し上位に食い込みだすタイミングでリーマンショックに見舞われてしまいます。もう求人自体が蒸発した世界で会社にいてもやることがなく、当時スタートして数年のあの経営大学院グロービスに学びに行ったのが起業のきっかけになりました。そこで受講していた二人、現CFOの田中伸明氏とエンジニアの山田正洋氏との出会いです。

このグロービスで3人が課題の起業のアイディアとして検討したのが新卒紹介事業で今の同社の起源になりました。いわば同社は創業メンバーをグロービスがくっつけたと言ってよいでしょう。ちなみにグロービスは同社に出資しています。

 

業績

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 i-plug 新株式発行並びに株式売出届出目論見書より抜粋

前期2020年3月期は最終赤字に転落しています。

予想EPS(今期一株純利益)=55.3円 

増資後BPS        =約245円

今期ROE予想       =6.8%

黒字化したのは2018年3月期からであり、利益率はいまいちではあります。まあ現時点では利用する採用側企業、登録する就活学生ともに数値が伸びており、売上自体は伸びが期待できそうな見通しではあります。

 

株主

上場時発行済み株数は3,732,500株です。上位株主は以下の通りです。これ以外に本案件では別途公募増資として270,000株を発行します。

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このうち既存株主が放出するのは 241,600株。以下の4人が持ち分の一部を売却します。

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山田正洋氏は3億6680万円の現金を受け取り6億5500万円相当の自社株を保持。

中野智哉氏は1億5955万円の現金を受け取り、59億円の自社株保持。

田中伸明氏は約8000万円の現金を受け取り、4億7000万円の自社株保持。

直木英訓氏は約2700万円の現金を受け取り、2億4300万円の自社株保持。


 

ロックアップ

中野智哉氏、山田正洋氏、田中伸明氏、直木英訓氏、シタシオンストラテジックパートナーズは後180日目(2021年9月13日)までロックアップあり。ニッセイ・キャピタル8号、おおさか社会課題解決投資事業有限責任組合、りそなキャピタル4号、グロービス経営大学院は、後90日目(2021年6月15日)までがロックアップ。ただし上場時に買い気配で3,930円以上でもなかなか寄らない時の冷やし玉として主幹事大和証券が勝手に売却する可能性(グリーンシューオプション)があります。

 

募集概要

前述の通り、主幹事は大和証券。上場時発行済み株数 3,732,500株(別にストックオプションなど潜在株式210,250株)
公開株数 588,300株(公募270,000株、売り出し241,600株、オーバーアロットメント76,700株)、オファリングレシオは15.7%とかなり低く好条件です

仮条件は2,470~2,620円で3月10日に公募価格は上限2,620円で決定しました。

 

 

初値の見通し

2日前の3月16日上場ウイングアーク1st (4432、東1)がIPOの資金循環を滞らせる可能性があり、翌3月19日上場のココナラ(4176、マ)も大型上場のためその谷間に上場する格好です。日程としてはあまり良くないのでしょうが、募集金額は15億円程度と少ないため問題はないと思われます。むしろ業種・業態の先進性があることと募集株数の少なさが目立ちます。オファリングレシオが15%以下の案件は軒並み2倍以上で初値が付いている事例が多いため、初日は寄らず翌日以降にある程度の高値で寄るのではないでしょうか。

 

噂で聞きましたが中野さんは西宮の有名な高級住宅地の中でもひときわデカい豪邸にお住まいだそうです。下世話なわたくしもストビューで拝見しましたよ。

...すげー!門から建物が見えねーわ。航空写真ならでかい建物がいくつも写ってるのに。一体これいくらかかってんだろ?あの街並みの中でも群を抜いてすごい。

新卒で入っちゃったブラック企業を解脱→ニート→営業ビリからのグロービス→起業→成功して上場→高級住宅地の超豪邸と金融資産60億円(借金は知りませんけど) 

おめでとうございます。いやー、夢があるなあ~。